新近江名所図会
新近江名所圖會 第436回 米原駅から徒歩7分の名勝庭園 ―青岸寺(せいがんじ)庭園
青岸寺は、湖北と湖東の境目を守る浅井氏の城「太尾山城(ふとおやまじょう)」の麓にあります。
延文年間(1356~1361)に「ばさら大名」として知られた近江守護佐々木道誉により開かれ、太尾山米泉寺と称していましたが、その後荒廃し、江戸時代初めに彦根藩井伊家により再興され、吸湖山青岸寺と改められます。この時に立派な庭園が造られたようですが、延宝5年(1677)、彦根城内に玄宮楽々園を整備する際に、この庭石が運び去られ、一旦壊されてしまいます。その後、楽々園の作庭者である彦根藩士香取氏が現在見られる庭を再興したと伝えられます。
◇庭園の特徴
太尾山の斜面を利用して造られた、築山林泉式枯山水の大庭園(写真1)。

1000㎡以上にも及ぶ広い庭園一面に多数の巨岩・奇石が豪華に配置されています。右手奥の高所に三尊石を兼ねた枯滝石組が組み上げられ、滝組から水がほとばしり、中央の池に流れ込みゆったりとした大海に変わっていく様子が石組と苔によって表現されています。海には亀の上に鶴が乗った様を石組で表す蓬莱島と見事な石組の出島が配されます。蓬莱島には切石の反り橋が架けられています。
江戸時代初期の豪華で伸びやかな気風をよく伝える庭で、旧浅井町の池氏庭園と築庭技法の共通性があると言われています。白い石と緑の苔、四季折々に変化する背景の山肌に溶け込み、山水画のような雰囲気を感じられます。
◆おすすめPoint
本堂の裏からがお庭の正面に向かう場所で、その向きに鑑賞できる場所には、何か所も喫茶用の席が設けられています(写真2・3)。また席はなくても母屋から奥の書院まで自由に往き来でき、好きな場所で鑑賞できます。書院はもともと明治37年に建てられたもので傷みがひどかったものが、2018年に修復が完了し、現在はお寺の催しにも活用されています。風呂場や便所も修復され、見学できます(使用は不可)。書院は山腹に近い高所にあり、ここからのお庭の眺めは庭の全体を見下ろすような感じでおもしろいです。


実はお庭の解説をとんと理解せずに訪れ、堂内あちこち見て回っていましたが、あれが滝とかこれが海とかわからなくても、観ていて飽きないし、居心地の良い空間です。
当初、上記の庭の情報しか知らなかったのですが今回訪問するに際して調べてみたところ、雨がたっぷり降った後はなんと池庭になるということを知り、とても驚きました。ぜひとも枯山水が池庭に変貌した状態のお庭も観てみたいと思います。
近年、このお寺ではさまざまな催し(アート作品展示や各種体験等)をされているので、そういう時に行くのも楽しいと思います。今回訪れたときはまだ紅葉の盛りでもなく、ライトアップの障子絵(伊吹在住の切り絵作家、早川鉄平さんの作品です!)も見られる時期ではなかったので、そういう写真は撮れませんでした。あえてあまり何もない時期に行ってみましたが、おいしいケーキとご住職の淹れたサイフォンコーヒーをゆっくり楽しみながら庭を眺め、ほっこりした時間を過ごせました。
お庭だけでなく、ご本尊を拝むこともできますし、堂内に展示されているアート作品なども楽しめ、グッズなども販売しておられます。
◇茶寮《喫茶去》
近年、住職が運営するカフェができ、カウンターや庭が見えるいろんな場所でお茶が楽しめます。お抹茶(薄茶)もありますが、コーヒーやラテなどの飲み物、ケーキなどの洋菓子系のメニュー構成です(写真4)。

お寺というと、ちょっと堅苦しいと思う方もいるかも知れませんが、ここのお寺は仏様やお庭の小難しい理屈は分からなくても、まず、気楽に訪れて、おいしいお茶を楽しみながらゆったりすごし、さまざまな見どころにふれてみる、そんなすてきな空間だと思います。
◇周辺の見どころ・おすすめ情報
○湯谷神社(名所図会第61回)と金毘羅神社
青岸寺の入り口は金毘羅神社の登り口と隣接しており、金毘羅さんの方に上がってお参りしてから、右横奥方向に進む道がありそのまま行くと湯谷神社の拝殿の横辺りに出ます。湯谷神社も併せてお参りして、参道を下りてきて、青岸寺に向かう道に戻っていけます。
金毘羅さんは航路の神様。かつて米原湊が栄えた地であることを髣髴させます。
○米原駅周辺
・駅前ロータリーの一角に米原湊跡の記念石碑・解説看板があります。
・米原市庁舎がロータリーに隣接して建っています。駅直結の入り口付近に観光案内コーナーがあり、米原地域の各種案内、近隣山城のトレッキングマップなどが設置され、案お内係もおられるので便利。
・ロータリーにはカフェもでき、軽食などが楽しめます。
◆アクセス
【公共交通】JR東海道本線米原駅から徒歩約7分。(駅から近くてとても便利!)
【自家用車】米原ICより約10分
◇青岸寺〔拝観料〕大人300円 小人100円 休園日 火曜、第4月曜
〔拝観時間〕9:00~17:00(冬季は16時まで)
(詳しくは青岸寺公式サイトをご確認ください。https://seiganji.org/)
(資料活用課 小竹志織)